外交関係文書等

日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言

1956年10月19日 モスクワで署名
1956年12月12日 東京で批准書交換
 1956年10月13日から19日までモスクワで、日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間で交渉が行われた。
 日本国側からは、
内閣総理大臣  鳩山一郎
農林大臣  河野一郎
衆議院議員  松本俊一
が参加し、
 ソヴィエト社会主義共和国連邦側からは、
ソヴィエト連邦大臣会議議長  エヌ・ア・ブルガーニン
ソヴィエト連邦最高会議幹部会員  エヌ・エス・フルシチョフ
ソヴィエト連邦大臣会議議長第一代理  ア・イ・ミコヤン
ソヴィエト連邦第一外務次官  ア・ア・グロムイコ
ソヴィエト連邦外務次官  エヌ・テ・フェドレンコ
が参加した。
 相互理解と協力の雰囲気のうちに行われた交渉を通じて、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との相互関係について隔意のない広範な意見の交換が行われた。日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間の外交関係の回復が極東における平和及び安全の利益に合致する両国間の理解と協力との発展に役だつものであることについて完全に意見が一致した。
 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦の全権団の間で行われたこの交渉の結果、次の合意が成立した。
1  日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の戦争状態は、この宣言が効力を生ずる日に終了し、両国の間に平和及び友好善隣関係が回復される。
2  日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間に外交及び領事関係が回復される。両国は、大使の資格を有する外交使節を遅滞なく交換するものとする。また、両国は、外交機関を通じて、両国内におけるそれぞれの領事館の開設の問題を処理するものとする。
3  日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、相互の関係において、国際連合憲章の諸原則、なかんずく同憲章第2条に掲げる次の原則を指針とすべきことを確認する。
(a) その国際紛争を、平和的手段によって、国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように、解決すること。
(b) その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。
 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、それぞれ他方の国が国際連合憲章第51条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有することを確認する。
 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、経済的、政治的又は思想的のいかなる理由であるとを問わず、直接間接に一方の国が他方の国の国内事項に干渉しないことを、相互に、約束する。
4  ソヴィエト社会主義共和国連邦は、国際連合への加入に関する日本国の申請を支持するものとする。
5  ソヴィエト社会主義共和国連邦において有罪の判決を受けたすべての日本人は、この共同宣言の効力発生とともに釈放され、日本国へ送還されるものとする。
 また、ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要請に基づいて、消息不明の日本人について引き続き調査を行うものとする。
6  ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する。
 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、1945年8月9日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。
7  日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、その貿易、海運その他の通商の関係を安定したかつ友好的な基礎の上に置くために、条約又は協定を締結するための交渉をできる限りすみやかに開始することに同意する。
8  1956年5月14日にモスクワで署名された北西太平洋の公海における漁業に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約及び海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定は、この宣言の効力発生と同時に効力を生ずる。
 日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、魚類その他の海洋生物資源の保存及び合理的利用に関して日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦が有する利害関係を考慮し、協力の精神をもって、漁業資源の保存及び発展並びに公海における漁猟の規制及び制限のための措置を執るものとする。
9  日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。
 ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。
10  この共同宣言は、批准されなければならない。この共同宣言は、批准書の交換の日に効力を生ずる。批准書の交換は、できる限りすみやかに東京で行われなければならない。
 以上の証拠として、下名の全権委員は、この共同宣言に署名した。
 1956年10月19日にモスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書2通を作成した。
 日本国政府の委任により
鳩山一郎
河野一郎
松本俊一
 ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会の委任により
N・ブルガーニン
D・シェピーロフ

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