北方館だより


北方領土返還要求根室市民大会と貝殻島コンブ漁


                                                                       


根室市民大会


 6月5日、北方館に隣接した望郷の岬公園のチシマザクラ55本が満開となり、観光客や市民が“日本一遅い花見”を楽しみました。
 根室の開花宣言は、桜前線の終着点となる5月16日でしたが、市中心部に比べて気温が3、4度低い納沙布岬は更に開花が遅れ、好天に恵まれたこの日に一気に淡いピンク色の花を咲かせました。
 このサクラは、水産業を中心とした地域振興計画「歯舞地区マリンビジョン協議会」が、観光地でもある納沙布岬に新たな魅力を加える取り組みとして、昨年から市のシンボル・千島桜を植樹し“日本一遅く咲く桜並木”を整備しているもので、同会の関係者は「漁業振興と納沙布岬観光振興の相乗効果で、豊かで活気ある漁村を目指したい。」と話していました。
 例年8月の北方領土返還要求運動強調月間に行われる「北方領土返還要求根室市民大会」(市など主催)が29日、市内の道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)特設会場で開かれました。
 今年の市民大会は、7月の北海道洞爺湖サミットに合わせて、返還運動の原点の地からこれまで以上に強く領土返還を国内外に訴えるためこの時期に開催されたもので、大会には市民や元島民、政府関係者ら約1,700人が出席しました。
冒頭、長谷川俊輔大会長(根室市長)から「返還要求運動の狼煙をあげてから63年が経過しようとしている今もなお、領土が返還されないことは誠に遺憾です。サミットにおける日ロ首脳会談において領土問題の早期解決に向けた具体的な進展を強く期待する。返還要求運動原点の地の市長として、断固たる決意と信念を持ってこの返還運動に邁進してまいります。」と長年に亘る返還運動に熱い思いを込めた挨拶がありました。
 この後、来賓として出席した沖縄・北方担当の中川義雄内閣府副大臣、中山泰秀外務政務官、仲野博子衆議院議員などの激励とメッセージを受け、全国各地から寄せられた領土問題解決を訴える激励の電報が披露されました。
 引き続き行われた弁論発表では、領土問題がテーマの市少年弁論大会に出場した石井紅実さん(柏陵中3年)が、しっかりとした口調で、「元島民だけでなく国民全体が返還運動に関心を持つべきです。今こそ国民が正しい知識を持って世界に訴えていきませんか。」と呼び掛け、さらに、「根室市民の叫び」では元島民と青年、婦人、経済の3団体代表4人が、「生きているうちに島が還ることが願い。」などと現地の悲痛な思いを発表しました。
 最後に市町会連合会会長が、戦後63年を迎えても一向に進まない日ロ両政府の返還交渉に、「サミットは北方領土問題を世界に訴える好機、政府に領土問題の周知と交渉の進展を求める。」と市民の思いを盛り込んだ大会決議や市民代表による洞爺湖サミットに向けた特別決議を行い、千島歯舞諸島居住者連盟根室支部青年部を先頭に「島を返せ」などとシュプレヒコールを上げて、北方領土の早期返還を求めていく決意を国内外に強くアピールしました。
 一方、日ロ民間協定に基づく北方領土・貝殻島周辺のコンブ漁が1日解禁されましたが、歯舞漁協などが調査した結果、今春の流氷でコンブが削り取られた漁業被害が見られ、例年より着生密度が低く低温で生育も遅れていることが分かったため、操業を2週間遅らせて16日朝、一斉に出漁しました。
 午前6時の解禁を前に市内3漁協所属のコンブ漁船249隻が納沙布岬付近に集結し、サイレンを合図に3.7キロ沖にある貝殻島周辺の漁場に向かい、岬では家族や漁協職員らが見送り漁の安全と豊漁を祈っていました。
 今年の同協定は、採取量を前年比500トン減の3,500トン、採取料を同1,220万円減の8,540万円、ロシア研究機関への機材供与も採取量に応じて前年比50万円減の350万円、操業隻数の上限は375隻以内、操業期間は6月1日から9月30日までと、ほぼ日本側の要望に沿った内容で4月25日に妥結しました。
 しかし、流氷被害や生育状況などによる操業開始日の遅れは平成12年以来8年ぶりとなり、出漁した漁業者からは「不良だった昨年よりさらに資源が少ない。」などと、ため息も漏れ、漁協関係者は「今後の天候や水温の回復による成長を期待したい。」と話していました。
 【6月入館者数:12,390人】

(文:米谷隆北方館館長)



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