北方館だより


北方領土を目で見る運動と根室半島チャシ跡群


                                                                       



北方館を見学する修学旅行生
 

 

 

10月の根室は、秋の深まりとともに紅葉が見ごろの季節を迎え、森や林のナナカマドやミネカエデなどの木々が赤や黄、オレンジ色の極彩色に染まり、ピークとなった道内各地の紅葉の名所とともに紅葉狩りの行楽客で賑わいを見せました。

 このような中で、日本有数の渡り鳥の中継地であるラムサール条約登録湿地の風連湖に、今年も冬の到来を告げるオオハクチョウの飛来が始まり、昨年より一日早くほぼ例年並みの12日に今季の初飛来が確認されました。シベリア東部から四、五千キロを旅してきたオオハクチョウは、旺盛な食欲で水草を食べ越冬地の東北・北陸へ向かう準備をしており、湖岸には多数の群れが飛ぶ雄大な光景を見ようと観光客が集まっています。

 風連湖のオオハクチョウは、11月中旬まで秋の渡りのピークを迎え、約5千羽に達しますが、湖面が結氷し始める12月には越冬地に向けて飛び立ちます。

 また、納沙布岬から北方領土を見るために北方館を訪れる中学・高校の修学旅行生が急増し、本年度(10月末現在)は前年度の4倍となる1,400人台となり、6日には過去最多となる三重県伊勢市の皇學館高校の2年生400人が根室入りしました。

 領土問題の学習を目的にした北方館への修学旅行は、北隣協(北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会)が平成15年に「北方領土を目で見る運動」をスタートさせてから増え始め、領土問題の解説や見学コースを載せた冊子を全国の高校に送るなど地道な誘致活動を行ってきました。その結果、平成17年度が2校192人、平成18年度が3校215人、平成19年度が4校339人と着実に増加し、本年度は9校1,407人を記録しました。

 皇學館高校は7校目で、バス10台に分乗し元島民の話を聞きながら納沙布岬へ移動して当館職員から北方領土についての説明を受け、歯舞群島水晶島や国後島などを望んだ生徒たちは、間近に見える島々に驚いた様子でした。同校の大島謙校長は、「机上の勉強と違い、体験として残る。」と期待し、北隣協事務局の根室市は、「もともと道東を訪れる学校が多く、誘致活動で根室にも寄ってくれるようになった。」と話しています。

 参加した修学旅行生は、いずれも北方領土問題に対する理解を深めており、このことが家族や友人、知人への語りかけを通して領土返還要求運動に関心を持ってもらう絶好の機会となり、広く国民世論の高揚や後継者育成へと結びついていくものと信じています。

 一方、豊富な史跡に恵まれている根室では、日本城郭協会が昨年6月から行っている「日本100名城のスタンプラリー」で根室半島チャシ跡群(24ヵ所)が新しい観光メニューとして注目を集めています。

 このチャシ群は、16~18世紀ごろにアイヌ民族が砦や祭事の開催場所として使用していたもので、多くが四角形や半円形の堀と中央の平らな土台からなっています。昭和58年に国指定史跡となり、平成18年に日本城郭協会の日本100名城に道内の五稜郭(函館市)、松前城(渡島管内松前町)とともに選ばれました。なかでも北方館のある納沙布岬に程近いオンネモトチャシは、その代表的な一例となっており、ラリー実施後に当館への問い合わせが目立つようになりました。そのため、当館には全国から多くの城郭ファンや観光客が訪れています。


 【10月入館者数:12,134人】

(文:米谷隆北方館館長)



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