北方領土の概要
1.北方領土とは
北海道の東に位置する北方四島(歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島)は、現在も法的根拠なくロシアによって占拠され続けています。「北方領土」とは、日本の領土であるこの北方四島のことを指します。
2.北方領土の島々
(1)歯舞群島
北海道根室半島の納沙布岬の沖合3.7kmから北東方に点在する、貝殻島、水晶島、秋勇留島、勇留島、志発島、多楽島などの島々からなる群島で、面積は95㎢です。島々は笹が茂ったゆるやかな丘陵地で、樹木はほとんどありません。かつては多くの日本人が居住していましたが、現在住民はおらず、ロシアの「警備隊」がいるのみです。周辺は豊かな漁場として知られています。
(2)色丹島
歯舞群島の北東方22kmに位置する面積248㎢の島です。景勝地として知られ、緑におおわれた丘が連なり、高山植物が一帯に広がっています。かつては捕鯨基地も置かれ、天然の良港をもつ豊かな島でした。
(3)国後島
北海道の根室半島と知床半島との中間、沖合16kmの地点から北東方に位置する、日本第2位の面積(1,489㎢)をもつ島です(本土を除く)。火山島として温泉や景勝地に恵まれ、終戦時には約7400人の日本人が生活していました。北東部には四島の最高峰で、世界で最も美しい二重火山の一つと呼ばれる爺々岳があります。
(4)択捉島
日本最大(3,167㎢)で、かつ日本の最北端(北緯45度33分)にある島です。国後島と同じく火山島で、1,000mから1,500mの火山が連なっています。戦前は漁業で栄え、サケ・マス孵化場や缶詰工場、鯨の加工場もあり、鉱山や林業も盛んでした。
3.北方領土の自然
東を太平洋、西をオホーツク海に面し、暖流と寒流が流れ込む海域にあります。そのため夏は海霧が発生しますが、海洋性気候のため冬の寒さは北海道内陸よりも厳しくありません。年間を通じて風の日が多くありますが、積雪量は多くありません。
北方領土の動植物の分布は、北海道本島と全く同じで、得撫島以北の千島列島と異なります。北海道大学名誉教授の宮部金吾博士(1860~1951)は、択捉島と得撫島の間にある択捉海峡を植物分布の境界としました。これは「宮部ライン」と呼ばれ、八田ライン(宗谷海峡)、ブラキストンライン(津軽海峡)とともに、北海道の生物分布の境界として知られています。
北方領土の周辺は、豊かな漁場となっており、動植物の宝庫です。世界自然遺産の知床半島と同様のオホーツク海の流氷南限域にあり、世界で最も生物多様性の高い地域のひとつであると言われています。豊富な魚を追って鯨類やシャチが多く生息し、また遡上するサケ類を重要な餌としているヒグマやシマフクロウなどが生息しています。世界で国後、択捉の両島にだけ生息する白いヒグマも知られています。
このように世界的にみても希少な自然生態系をもつ北方領土ですが、近年ロシアによる大規模な開発行為で、生態系の破壊が進んでいることが危惧されています。
4.数字で見る北方領土
(1)北方領土の面積と本土の面積の比較
北方領土の面積は福岡県と同じくらいの約5,000㎢あり、日本の領土の総面積37万8,000㎢の約1.3%にあたります。その領土が法的根拠なくロシアに占拠されているのです。
- 歯舞群島
- 95㎢
- 小笠原諸島
- 107㎢
- 色丹島
- 248㎢
- 隠岐島(島後)
- 242㎢
- 国後島
- 1489㎢
- 沖縄本島
- 1208㎢
- 択捉島
- 3167㎢
- 鳥取県
- 3507㎢
※令和3年国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」によります。
歯舞群島及び小笠原諸島の
面積は周辺にある小島面積を含めたもので、それ以外の色丹島、国後島、択捉島及び隠岐島(島後)、
沖縄本島の面積は周辺にある小島面積を含めないもので、数値は小数点以下を四捨五入しています。
(2)北方領土の数字
17,291人
これは1945年当時の北方領土全島の人口です。
コンサート会場として知られる横浜アリーナメインアリーナの収容人数は17,000人です。
3.7km
北方領土と北海道本島との最も近い距離(納沙布岬と貝殻島の距離)です。
これは皇居ランニングで約3/4周した距離と同じくらいです。
204km
本土を除いて日本最大の島、択捉島の全長です。
これは札幌と帯広間(208
km)くらい距離があり、東京都でいえば福島県との直線距離約200
kmにあたる長さです。
※各数値は、横浜アリーナ設備概要、千代田区観光協会、北海道観光振興機構などによります。
エリカちゃん公式アカウントErika on SNS
「エリカちゃん」がいろいろなことをお話するから、応援よろしくピピィ〜